Double level osteotomy(DLO)とは

大腿骨顆上骨切り術とOpen wedge高位脛骨骨切り術を組み合わせたものです。

なぜDLOを推奨するか

片足で立った時の膝関節面を地面に平行にします。
正常人の膝は片足で立ったとき、関節線が地面に対し平行になるのが原則です。ただし、それがどの程度の活動性、年齢の方まで必要なのかは、今後の課題です。

左図青線:片足立ちで関節面が平行。右図:関節が傾向いている。

片足立ちで関節面が平行の図とXp

KOOS (Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score) スコアーのスポーツ&レクリエーションの項目で 近位脛骨内側角 (MPTA)が95°以下群の成績が良好でした。

​左図:MPTAが95°以下群の成績が良好でした。右図:MPTAが95°超える群のスポーツスコアーが劣っていました。

DLO95°以上と未満

しかし、高位脛骨骨切り術をおこなうと関節面傾斜角が増加します。
​この傾きは何度までが限界なのかはっきりしません。
そこで、関節面傾斜角を増加させる最大の因子である近位脛骨内側角(MPTA)が95°以下と95°超える群での成績を調査し英文誌に報告しました。

私の膝なら片足立ちした時の関節面傾斜角をあまり傾けないでほしいと思っていますので、現在は可能な限りドイツ Tübingen 大学 Schröter 教授に学んだ、DLO (Double level osteotomy) 手術を行っています。
​手術方法の詳細は以下に書いてあります。
OS NEXUS 15  膝関節手術の落とし穴 陥らないためのテクニック III 骨切り術 高度内反型変形性膝関節症に対する骨切り術 DLOの落とし穴 MEDICAL VIEW

関節面傾斜角を増加させる最大の因子である近位脛骨内側角(MPTA)が95°超える群でOpen wedge 高位脛骨骨切り術とDLOを行い、DLOでは関節面傾斜角が手術前後で変化しなかったことを英文誌に報告しました。

私の推奨した、「手術前の計画で近位脛骨内側角(MPTA)が95°以上となる例はDLOをしましょう」という考えは、現在世界の整形外科医のDLOの適応のスタンダードになっています。

DLO (Double level osteotomy) 手術前後のレントゲン像

手術前​のレントゲンで近位脛骨内側角(MPTA)が95°を超えないように計画をたてます。​術前計画でOpen wedge 高位脛骨骨切り術のみだと、手術後の近位脛骨内側角(MPTA)が95°をこえることがわかります。​術前計画でDLOだと、手術後の近位脛骨内側角(MPTA)が95°以下となることががわかります。

DLO術前計画

​DLO (Double level osteotomy) 手術を行いました。DLO後、下肢全長レントゲン正面・側面像です。目標通り正常よりややX脚、正面像で関節面は地面に平行になりました。

DLO術後

遠位大腿骨の内側がヒンジ骨折を起こしたら、私は必ず遠位大腿骨内側をあけ、プレートとスクリューでとめることにしています。今はほぼ起こらなくなりました。

DLO大腿ヒンジ骨折

DLO後のリハビリ

翌日 車いす
2 日後 歩行器で歩行
10~2週後 1本杖で歩行
2週後 抜鉤
3~4週後 1本杖歩行で退院